苗字ランキング:ベスト100:苗字の由来(ルーツ)
1位「佐藤」
- 人口200万人以上。日本で一番多い姓。全国各地に万遍なく存在する名字だが、とりわけ東北地方に多く、秋田県・山形県では県全体の人口の7%以上を占めている。(1から2%が相場)*1位:秋田県9.3%、2位:山形県7.9%、3位:宮城県6.0%、4位:福島県:5.5%、5位:岩手県5.3%(西日本では、広島県・徳島県・大分県に多い。)
- 平安時代中期、平将門を討って東国一体を支配した藤原秀郷が下野国佐野(現在の栃木県佐野市)に居を構えたことから「佐野の藤原」殿=「佐藤」と呼ばれた。
- また、秀郷の息子である、藤原左衛門尉公清が、「佐藤」を名字とした。
- 当時調停で上から二番目の職位であった「佐」を代々務めていた別の藤原氏も「佐藤」を名字とした。・こうした流れの中、佐藤姓を名乗る藤原一族が東日本各地に移り住み、やがて全国各地に散らばっていった。
- だが、鎌倉から江戸時代まで大名や公家、神官など高位についた佐藤氏はない。下級官僚クラスには多くの佐藤氏が存在していた。一般に親戚筋を覗いて家臣が主君と同じ苗字を名乗ることはない。トップに立たなかったがゆえに全国に勢力を伸ばすことができた。
- 佐藤家の家紋は上がり藤と源氏車。
- 平安時代末期の歌人:西行法師。本名を、佐藤義清。もともと鳥羽院の警護役をしていたが、23歳で出家。「心無き身にも哀れは知られけり 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」
2位「鈴木」
- 和歌山県熊野を発祥地として平安時代から全国に広がっていった。関東・東海の8都県で最も多い名字である。*1位:静岡県5.2%、2位:福島県4.2%、3位:山形県3.8%、4位:秋田県2.7%、5位:宮城県2.7%。和歌山県でベスト20に入っている以外は西日本に少なく、東日本で多く見られる名字。
- 鈴木姓のルーツは紀伊半島の熊野に限定される。この地域では刈り取った後の稲藁を積み重ねたものを「スズキ(ススキ)」と呼び、この当て字として「鈴木」姓が誕生した。
- 一族はやがて紀伊国藤白(現在の和歌山県海南市)に移り住み、熊野の神々を祭る神社「王子社」の神官になる。平安時代後期には阿弥陀如来の浄土として上皇、貴族から武士や庶民までが訪れる聖地となる。ここを拠点に熊野信仰と鈴木姓は山伏と比丘尼によって全国に広がっていく。・藤白神社の近くに「鈴木屋敷」という鈴木一族の総本家がある。「古事記」に登場するイザナギノミコトから122代にわたる系図があり、「鈴木会による全国鈴木サミット」が模様されている。・戦国時代最強の鉄砲傭兵集団「雑賀衆」を率いた「雑賀孫一」(本名:鈴木孫一重秀)も鈴木一族の子孫。
- 世阿弥の本名は、鈴木重善。
3位「高橋」
- 「橋本」「大橋」など「橋」の字を含む名字の中で多数を占めている。上位ランキングの中で珍しく地名から生まれた名字で、岩手・秋田・山形の東北3県に特に多い。
- 中世に生まれた佐藤、鈴木よりもはるかに長い歴史を誇っている。
- 「高い橋」に由来する全国に点在する地名から生まれた姓。古代においては川に常設の橋が架かっているということはほとんどなく、江戸時代でも川は渡し船が普通だった。庶民にとってはめったにお目にかかれない建造物であり、特別な存在だった。
- 橋のたもとに住む一族として「高橋」「橋本」「橋田」「大橋」などの名字が生まれた。
- 「日本書記」に、「高橋邑人活日が天皇に神酒を奉った。」、「新選姓氏禄」(古代の紳士録)に「高橋朝臣」が記されている。*高橋朝臣=第8代孝元天皇の皇子大彦命の子孫・膳氏の一族で、天皇家や朝廷への食膳を担当する家柄。やがて膳一族は大和国高橋(天理市)の地名にちなんで「高橋」に改姓。天皇の信を得て全国に広まった。
- 万葉歌人「高橋虫麻呂」はじめ数多くの歌人を排している。
- 家紋は「三枚笹」と「切り竹笹」
4位「田中」
- 稲作文化が生んだ日本を代表する地形姓:由来は「田んぼの中」米作りが経済の基盤だったがゆえにあちこちで生まれた。
- 地形名字のトップで、関西地本に特に多いが全国に万遍なく分布している。
- 家紋である「木瓜」「かたばみ」「四ツ目」なども、子孫繁栄を願う意味が込められている。
- 「古事記」「日本書記」双方にも登場している。また、全国には「田中」の地名が多く、そこから生まれた田中姓もかなりの数になる。
- 武内宿祢の子孫が、大和国田中(橿原市田中町)で田中姓を名乗った。
- 関ヶ原の戦いで、石田三成を捉えたことで一躍大きな藩の藩主となった田中吉政は岡崎城下の商工業発展に尽くした。
- 東北以外では、全てトップ20入り。件数では大阪府がトップ。
5位「渡辺」
- 浪花生まれの渡辺族は、源氏の末裔。大阪で生まれ、海上交通を通じて全国に散らばった商い上手の渡辺。華族に登りつめた一族もいる誉なる名字である。
- 発祥の地は、摂津国西成郡渡辺と呼ばれていた地(大阪北部)、廃案時代に書の達人として「三筆」に一人である、嵯峨天皇の末裔、嵯峨源氏の一族がこの地に移り住み、「渡辺党」という同族集団を組織した。摂津の国の港湾地域を本拠地(大阪府中央区)とし、海上交通を通じて全国に散らばり、勢力を拡大した。この、渡辺党の祖とされるのが平安中期の武将:渡辺綱である。坂田公時、碓井貞光、卜部季武と並び源頼光の四天王のひとりである綱は、酒呑童子を退治したり、羅生門に住み着いていた鬼女の片腕を、名刀・鬚切で切り落としたり武勇伝を残している。
- 渡辺一族で最も栄えたのは三河の国の渡辺氏、浄土真宗の信徒で、一向一揆で松平家康に反旗を翻し、一族の多くが戦死する。生き残った渡辺守綱は、許され家康に仕え、三河国賀茂郡(豊田市)に、14,000石を領する重臣に出世する。明治維新後は華族に列し、男爵を授けられている。
- 東日本に多い名字で、密度は、①山梨県、②福島県、③新潟県、④栃木県、⑤静岡県の順。
6位「伊藤」
- 平安時代に生まれた伊藤姓は、三重県で生まれて全国に広がった。平安時代中期の武将・藤原秀郷の子孫である尾藤基彰が、伊勢国で「伊勢の藤原=伊藤」と称したのが始まり。
- 現在でも三重県北部の北勢地区すべての市町村で最多の姓。
- 江戸示談に金融業で財を築いた豪農・伊藤家は、新潟屈指の大地主として名を馳せ、その館は「北方文化博物館」として現在に残っている。
- 百貨店「松坂屋」も、江戸時代の豪商・伊藤祐道が名古屋で太物商を開業したのが始まり。
- 「伊藤忠商事」:1858年・15歳の伊藤忠兵衛が、麻布の行商を始めたことに遡る。
- 「伊藤博文」:1841年生まれ、14歳の時伊藤姓を名乗る。
- 家紋は、「上がり藤」と「木瓜」
- 「伊藤園」の創業者は伊藤姓でなく、本庄正則。
- 全国密度ランキングは、①秋田県、②三重県、③山形県、④愛知県、⑤岩手県の順。
7位「山本」
- 「田中」とともに西日本を代表する地形に由来した姓。「山の麓」の意味合いの通り、庶民の名字として、東北を除いてほぼ全国に分布。
- 平安末期に登場した近江国山本(滋賀県びわ町)発祥の山本氏は琵琶湖の制水権を支配。
- 源平合戦のころに琵琶湖で大暴れした山本義経は、同じ源氏ということもあって源義経と混同された。
- 宮崎県南部から鹿児島県にかけては「山元」と書くのが一般的。
- 全国密度ランキング、①高知県、②和歌山県、③山口県、④鳥取県、⑤福井県の順。
8位「中村」
- 地名としての「中村」は日本一多いと言われており、全国各地に八用地がある中村姓。武家としての業績はほとんど見られないが、文化面で高い業績を残す人々が多い姓である。
- 「中心となる村」という意味から生まれた中村姓。全国各地に中村姓のルーツがあり、発祥地の特定が難しい。武将以外の名家が多く、文化面で秀でた業績を残す一族が多い。歌舞伎界の中村家、京都では、茶道具の塗師として活躍した中村家など。
- 主な家紋は、丸に五三の桐と二重亀甲。
- 1598年生まれの初代中村勘三郎は、狂言の芸を身につけたのち歌舞伎に転じている。
- 全国密度ランキング、①山口県、②長崎県、③三重県、④長野県、⑤青森県の順。
9位「小林」
- 鎌倉時代から続く地形姓。雑木林のような小さな林から生まれた。長野、群馬などで地名を発祥とした小林氏が多いが、全国の件ではルーツが諸説あり、定かでない。
- 密度がもっとも高いのは、長野県。伊那郡小林村の発祥で、俳人・小林一茶も出身。
- 上野国緑野郡小林(藤岡市)の小林氏は、鎌倉時代から続く由緒ある名家で、「吾妻鏡」にも「小林党」の名で登場している。
- 19963年生まれの俳人・小林一茶(本名・弥太郎):3歳で母を亡くし、8歳の時迎えた継母になじめず、15歳で奉公に。継母とは父の慰安宗族に10年以上に亘って財産争いをしている。しかし、52歳で、28歳の妻を迎えている。
- 全国密度ランキング、①長野県、②山梨県、③新潟県、④群馬県、⑤栃木県の順。
10位「加藤」
- 「加賀の藤原氏」を意味する加藤姓。芥川龍之介の「芋粥」の題材になった逸話が「今昔物語」にあるが、その主人公・藤原利仁から7代目の子孫にあたるのが加藤姓の始祖・藤原景通である。
- 景通の子・景員は伊勢国に移り住んで伊勢加藤氏の祖となり、以後加藤姓は東海地方を中心に広まっていった。
- 加藤清正は豊臣秀吉とは遠縁にあたり、身内に恵まれなかった秀吉にわが子のように扱われ、特別に目をかけられた。賤ヶ岳の合戦で「七本槍」の一人として活躍し、肥後25万石に取り立てられた。
- 全国密度ランキング、①愛知県、②岐阜県、③秋田県、④山形県、⑤三重県の順。
11位「吉田」
- 日本全国に万遍なく広がっている吉田姓の中でもとりわけ有名なのが京都・吉田神社の神官を務める吉田一族。「徒然草」の吉田兼好もこの一族の生まれ。
- 「良い田」という地名にルーツを持つ、日本の稲作文化から生まれた。格別に優れた田でなくても「田んぼ」そのものの美称として「よしだ」が使われていた。
- 「ヨシの生えている田」から生まれたという説もある。
- 京都市左京区の吉田山には平安京の鎮守神として創設された吉田神社がある。かつて一族は卜部と名乗っていたが、南北朝時代に吉田と改姓している。
- 全国密度ランキング、①岩手県、②福島県、③福井県、④奈良県、⑤長崎県の順。
12位「山田」
- 「山の中の田」という地形から生まれた山田は、日本を代表する地形姓のひとつ。山野が多い日本ではたとえ山の中だろうと、和束名平地を見つけては開墾して水田に変えてきた。全国15府県でベスト10に入るポピュラーな姓。東西を問わず全国に広く分布。
- 山田一族きっての名家と言われるのは尾張国山田氏。同地の源氏の一族、鎌倉時代には御家人となって「吾妻鏡」にも名前が登場していることから、この子孫と伝える家が多い。
- 長野県栄村では、人口の半数近くが山田姓。
- 全国密度ランキング、①岐阜県、②福井県、③愛知県、④新潟県、⑤静岡県の順。
13位「佐々木」
- 近江国佐々木から生まれた。鎌倉・室町幕府では多くの御家人や大名を輩出している。現在では北東北各県に集中している。また中国地方にも多くみられる。
- 近江国蒲生郡佐々木(安土町)がルーツ。渡辺と同様、特定の発祥地から全国に広がった珍しい名字。かつては蒲生郡には沙々貴神社を氏神とする狭々貴山氏がいたが、源氏の一族であった源経頼が佐々木に移住して佐々木を称するようになり、次第に狭々貴山氏と同化していった。この近江佐々木氏からは、源平合戦の際に、名馬・生食とともに宇治川の先陣を切ったことで有名な佐々木四郎高綱兄弟がいる。兄弟は主要御家人になって鎌倉幕府で活躍している。
- 全国密度ランキング、①岩手県、②秋田県、③宮城県、④青森県、⑤北海道の順。北東北では、人口の2%を占めている。
14位「山口」
- 北海道・京都・愛媛・沖縄を除いた全国47の都道府県名と同じ苗字の中でも、トップに輝く山口姓。「山の入り口」から生まれた地形姓でルーツは各地にあるが、山口県の山口率は意外にも低めである。
- やはり、山口県山口市が発祥の山口氏が有名。室町時代に、山口県を本拠地として中国地方全域を支配していた大名・大内氏の分家が地名にちなんで山口姓を称したのが始まり。
- 関東では、武蔵七党の一派、村山党で入間郡山口村(所沢市)発祥の山口氏が徳川氏に仕えていた。
- 全国密度ランキング、①長崎県、②佐賀県、③福井県、④山形県、⑤鹿児島県の順。
15位「松本」
- 日本の聖木にちなんだ”松“一族トップの名字。圧倒的に西日本。特に関西に多い。
- 長野県松本市にある松本城は中世には深志城呼ばれていたが、源氏の末裔である小笠原氏が「松」に瑞祥の願いを込めて名称を改めた。
- 各地の由緒ある古代神職にも松本姓が多い。
- 初代松本幸四郎は下総国(千葉県)の生まれで、元禄年間に江戸に出て歌舞伎役者になった。2代目はのちに4代目市川團十郎を継いで名優及ばれる。
- 全国密度ランキング、①鳥取県、②長崎県、③愛媛県、④熊本県、⑤和歌山県の順。
西日本に多く、関西では4県でトップ5入り。
16位「井上」
- 信濃国高井郡井上(須坂市)の地名がルーツ。平安時代にこの地に移り住んだ源氏の一族・源頼季が井上姓の祖となり、やがて信濃を代表する武士団へと成長していく。以後、子孫は全国各地に広がったが、特に播磨国(兵庫県)と安芸国(広島県)に住んだ一族が有名。
- 播磨国の井上正継は徳川家康に仕え、「井上流砲術(外記流)」の祖として名を馳せた。
- 安芸の井上氏は戦国時代・毛利家の重臣となり、その子孫の長州藩士・井上馨は明治維新で活躍。新政府に仕え、廃藩置県を成し遂げた。1885年初代外務大臣に就任。その後実業界に転じた。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②高知県、③佐賀県、④福岡県、⑤岡山県順。
西日本に多く、27の都県でベスト30入り。
17位「斎藤」
- 古代一般社会と隔絶し、天皇に代わって伊勢神宮に奉仕する「斎王」と呼ばれる皇女たちがいた。彼女らの世話係「斎宮頭」として斎藤を名乗ったのが、藤原利仁の息子・叙用である。武将として名を馳せた利仁が越前国を本拠地としていたため。斎藤を名乗る市村も北陸を中心に広がっていった。
- 斎藤姓の中で有名なのが、木曽義仲世の篠原の戦いに白髪を染めて出陣し、討死した斎藤別当実盛。埼玉県大里郡妻沼町の聖天堂には、今も実盛の像が残っている。
- 下剋上の代名詞ともいえる斎藤道三は、松波、山崎屋、長井、西村の姓を名乗り、1538年に守護代の斎藤家を乗っ取り、あとを継いだ。
- 新選組三番隊隊長を務めたのが斎藤一。
- 全国密度ランキング、①山形県、②秋田県、③福島県、④青森県、⑤栃木県順。
東日本に多く分布しており、中でも東北地方に多い。
18位「木村」
- 地名がルーツとされる木村だが、全国各地にあまりにも多いため正確な発祥地は特定できていない。木の国・紀伊の古代姓「紀」しにちなんだ木村氏もいる。
- 下野国都賀郡木村(栃木県都賀町)で生まれた木村氏が記録に残っている。平安時代の中期の武将・藤原秀郷の末裔で足利信綱が木村氏を称するようになったと言われている。
- 近江国木村郷(滋賀県蒲生町)発祥の木村氏は、佐々木姓から改姓した紀朝臣成高の末裔。
- 木村庄之助:初代は寛永年間の人といわれるが、1726年に襲名した仙台藩出身の4代目が事実上の初代とされている。
- 全国密度ランキング、①青森県、②茨城県、③滋賀県、④秋田県、⑤香川県順。
全国32の都道府県でベスト50に入るなど全国に万遍なく分布。
19位「林」
- 木が生い茂っている場所から生まれた地形姓。北陸から東海地方を中心に広く分布。
- 山野の多い日本では必然的に林も多く、全国いたるところで林姓が生まれた。
- 7~8世紀に4代の大王に仕えた武内宿祢の子孫が林氏だという説もある。
- 河内国拝志郡(大阪府)、加賀国拝師郡(石川県)などの「はいし」から「はやし」へ地名が変化した例もある。
- 水野忠邦の天保の改革を妨害したのは林忠英。
- 儒学者の林家は、三代目の林鳳岡以から代々江戸幕府の学問所を統括する大学頭を務めた。初代は、林羅山。
- 北陸を中心に分布しており、岐阜県では人口の2割近くが林と名乗る町もある。
- 全国密度ランキング、①岐阜県、②富山県、③山口県、④福井県、⑤長野県の順。
20位「清水」
- 「清水の湧く」場所や、それにちなんでついた「清水」という地名がルーツ。
- 北関東から甲信越地方に多く分布している。
- 備中国高松城主:清水宗治は、秀吉の水攻めで自刃。
- 清水次郎長は、山本長五郎。駿河国清水湊から由来。次郎長は養父である「次郎八の家」の長五郎を縮めたもの。
- 清水建設の創業は、1804年で、創業者は清水喜助。
- 全国密度ランキング、①山梨県、②長野県、③群馬県、④福井県、⑤岐阜県の順。
21位「山崎」
- 山の多い地形から生まれた。全国に散らばった源氏の末裔が、各地の地形にちなんで名乗るようになった。「山の稜線の先端」という意味から生まれた。「ヤマサキ」とは、多くの神の宿る聖地を意味する。
- 近江国山崎氏:犬上郡山崎の地名にちなみ、古代から近江国で栄えていた源氏の末裔・佐々木神主家から派生した。
- 戦国時代の武将・山崎堅家が秀吉から与えられた三田城(兵庫県三田氏)。
- 仙台藩主の山崎氏も源氏の一族であったとされる。
- 東北以外で関東を中心に広く分布している。全国で約35万人。
- 全国密度ランキング、①高知県、②長野県、③富山県、④島根県、⑤長崎県の順。
22位「森」
- 源氏の末裔である毛利一族の「毛利」と、木々が茂る「森」から転じて生まれた。
- 地形から生まれた姓。愛甲郡毛利荘(厚木市)が発祥とされ長州藩主・毛利氏の発祥と同じ。
- 源義家の息子・義隆が毛利に住んで「毛利(森)冠者」と称したのが森姓の始まり。
- 全国密度ランキング、①長崎県、②徳島県、③香川県、④岐阜県、⑤三重県順。
東北地方以外に広く分布。特に西日本に多い。
23位「阿部」
- 天皇の子孫説・朝廷に抵抗した豪族の子孫説と2つに分かれる。
- 東日本、特に東北地方に集中しているが、西日本にはあまりみられない。
- 「安部」「安倍」「阿倍」などあるが、ルーツは同じで、漢字を当てはめる際に枝分れ。
- 発祥は古代豪族の大和国安倍(奈良県桜井市)第8代天皇・孝元天皇と子孫が、この地にちなんだ阿部氏である。この子孫が多いとされる。
- 神武天皇と戦って滅ぼされた青森県の豪族・長髄彦の末裔が安倍氏となった説もあり、ここからアベ姓が東日本に広がっていったとされる。
- 阿部家の家紋は、遠い鷹の羽。
- 全国密度ランキング、①宮城県、②山形県、③岩手県、④秋田県、⑤新潟県順。
東北地方に多く、青森以外の5県ではベスト11以内。
24位「池田」
- 稲作文化から生まれた姓。特定の地域に集中している例は少なく、全国に広く分布する。
- 美濃国池田郡池田荘(岐阜県揖斐郡池田町)発祥の紀氏の子孫といわれる豪族池田氏。岡山藩や鳥取藩の藩主を務めたこの一族は、織田信長・豊臣秀吉に仕えて一家を興し、明治維新後には男爵に列している。
- 池田家の主な家紋は三つ蝶、向かい蝶など。
- 全国密度ランキング、①佐賀県、②鹿児島県、③長崎県、④山形県、⑤新潟県順。
全国33でベスト50入り。
25位「橋本」
- 「橋本」の地名に由来するほか、「橋のたもと」を意味する地形姓としても全国に見られる。橋が珍しかった時代に「高い橋」と同じルーツ。
- 公家の橋本家:藤原一族の末裔である西園寺氏の支流で、代々笛を演奏する役職として朝廷に仕えた。幕末、尊王攘夷派の公家として活躍し、明治時代には伯爵となった橋本実梁がいる。また、緒方洪庵の適塾で医学を修め、安政の大獄で刑死した橋本佐内も有名。
- 橋本家の主な家紋は、釘抜き、三つかし柏、目結、横木瓜。
- 全国密度ランキング、①福島県、②福井県、③和歌山県、④石川県、⑤熊本県順。
鹿児島県と沖縄県を除いてほぼ全国に広く分布。
26位「山下」
- 「山の下、たもと」の意で、山麓に多い名字。東北や関東には少ないが、四国から九州にかけてほとんどの都道府県でベスト20入りしており、九州地方にとくに多い。
- 昔の農村では、山のたもと部分に道があり、その両脇に家が並んでいることが多かった。
- 「山本」「山田」のように山野の村落で生まれた姓の仲間。
- ルーツのはっきりした名家はあまり知られていないが、室町時代に「美濃の山下氏」や長野県木曽郡発祥の「信濃の山下氏」などがいる。
- 山下家の主な家紋は、四つ目菱、雪持ち笹、三つ扇、丸に二つ雁金、丸に隅立て井筒。
- 全国密度ランキング、①鹿児島県、②長崎県、③香川県、④高知県、⑤熊本県の順。
- 四国・九州のほとんどの県で20位以内。東日本では少ない。
27位「石川」
- 関東地方を中心に東日本に多く分布する石川姓。地名に由来した名字。
- 祖先には大化の改新後に生き残った蘇我一族や、納豆の発見者・源義家などがいる。全国上位の姓の中で、唯一沖縄県で多い名字でもある。
- 大化の改新でわずかに生き残った蘇我氏の一族らが、石川に改姓したと言われている。
- 河内国石川郡(大阪府東部)の石川氏は、馬糧大豆の中から「発行した大豆=糸引き納豆」を発見し、兵糧に採用した八幡太郎義家の子孫。
- 石川五右衛門は、安土桃山時代の初代から数えて13代目。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②栃木県、③秋田県、④静岡県、⑤茨城県順。
関東地方を中心に東日本に多い。栃木県ではベスト10入り。沖縄県、香川県と愛媛県の県境に局地的に多い。
28位「中島」
- 全国各地の「中島」という地名から生まれた姓。関西では「中嶋」九州では「なかしま」と濁らないことも多い。
- 尾張国中島郡(愛知県)発祥の中島氏:鎌倉時代の「吾妻鏡」に中島一族の名前がある。
- 江戸時代には代々相模国(神奈川県)の浦賀奉行所で与力を務めた中島家。ペリーと最初の交渉にあたったのは、中島三郎助永胤であった。
- 全国密度ランキング、①佐賀県、②群馬県、③岐阜県、④長野県、⑤長崎県順。
関東地方、東海地方、九州地方に多く、全国23都県でベスト10入り。群馬県でベスト10、佐賀県でベスト5。
29位「前田」
- 「手前のほうにある田」という意味から生まれた地形姓。ほかに神社や寺社など特定の建造物の「前にある田」を示すという説もある。
- 美濃国前田(岐阜県)など地名にもルーツを持つ。東北以外に広く分布している。
- 元禄時代、富山藩2代目当主:前田正甫は江戸城で「反魂丹」を大名に飲ませ、全国に「富山の薬売り」を知らしめることになった。
- 全国密度ランキング、①鳥取県、②鹿児島県、③福井県、④高知県、⑤和歌山県順。
東北地方以外に広く分布。7県でベスト10入り。
30位「藤田」
- 全国各地にある「藤田」という地名にルーツを持つ地名姓。植物の「藤」に由来するものばかりでなく「淵」や「縁」から変化し「ふじた」になったケースも多いといわれている。
- 平安から室麻衣時代にかけて、関東を中心に勢力を誇った同族武士集団「武蔵七党」の一派・猪俣党に藤田氏の一族が属していた。この藤田氏は武蔵国藤田郷(埼玉県寄居町)に由来する。藤田行康は源平合戦の際に源氏に従い。一の谷の合戦で討ち死にしている。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②山口県、③岐阜県、④千葉県、⑤新潟県順。
九州を除いて全国に分布。特に瀬戸内海沿岸に集中してみられる。
31位「小川」
- 川の多い日本の地形から生まれた地名に由来した小川姓は広く分布する。
- 常陸国茨城郡小川郷(東茨城郡小川町)の小川氏は、源義光の流れをくむ・佐竹宗義の代で小川姓を称するようになったのが始まり。
- 武蔵国多摩郡小河郷(東京都あきる野市)や上野国利根郡小川(群馬県月夜野町)からも同様に地名にちなんだ小川氏が続々と生まれた。
- 滋賀県甲賀郡信楽町小川には明智光秀に追われ三河に逃げる徳川家康が一夜を明かした小川城跡が残っている。
- 全国密度ランキング、①島根県、②長崎県、③岐阜県、④千葉県、⑤新潟県の順。
- 南関東地方と山陽地方に多い。
32位「岡田」
- 「やや高いところにある田」という全国にある地名から生まれた地名姓。
- 常陸太田市と石下町から発祥したそれぞれの岡田が有名。
- 中国地方、四国地方に多いが東北、北陸、九州ではあまり見られない。
- 江戸時代に下野国栃木(栃木市)にあった豪商の岡田家:第30代敏達天皇の末裔という岡田家は、元は上杉家に仕えた武家だったが、江戸時代に帰農。新田開発を行って栃木町の基礎を築いた一族である。当主は代々「嘉右衛門」と名乗ったため、周辺は嘉右衛門町と呼ばれている。
- 全国密度ランキング、①香川県、②愛媛県、③広島県、④徳島県、⑤高知県順。
全国的に分布しているが、東北地方、北陸地方、九州地方にはやや少ない。
33位「後藤」
- 関白の二条家に仕えた藤原家の子孫が、のちに備後や肥後などで国司となったため後藤と名乗ったのが始まり。
- 後藤家には鋳造職に携わる家が多く、室町時代には「鋳金中興の祖」と呼ばれた後藤祐乗が登場。幕府の御用達に。また、江戸時代に「金座」で貨幣を鋳造していたのも後藤家であるが、後藤祐乗とのつながりはない。
- 幕末の志士・後藤象二郎。勤皇派に対する強硬姿勢で首領の武市瑞山を切腹させた張本人。坂本龍馬に会ってから、反省し明治時代に入って悔いている。
- 全国密度ランキング、①大分県、②山形県、③岐阜県、④宮城県、⑤宮崎県順。
秋田県から福島県、東海地方、九州東部に多い。
34位「長谷川」
- 長谷川氏の本流は、戦国時代に奈良県で集結した武士団・長谷川党(初瀬川の流域に勢力を持った)といわれている。(ほかに、舟が泊つ瀬=舟の終着、長谷の泊瀬川という説もある。)この氏族は、平安時代の武将・藤原秀郷の子孫であり、室町時代には大和国に住んで代々足利将軍に仕えていた。春日大社の祭礼には大和武士の先駆けとしてきょう供奉していた忠臣として名高い。
- 安土桃山時代の当主・長谷川宗仁は堺の豪商から豊臣秀吉の旗本に転身し、子孫は禄高三千石を領する大出世を遂げている。
- 全国密度ランキング、①新潟県、②福井県、③鳥取県、④福島県、⑤愛知県順。
北陸地方から出羽地方に多い名字。新潟に集中しておりベスト10に入っている。
35位「村上」
- 信濃国村上郷(長野県坂城市)の地名から生まれた。11世紀末に、源仲宗の子・盛清が村上郷に島流しされ、その子孫が村上姓を称した。
- 村上為国は平安の世の幕引きとなった保元の乱で崇徳天皇につき、後白河上皇に敗れたが赦免を受け、平治の乱では平清盛側についている。
- 中世に瀬戸内海を支配していた海賊・村上水軍も信濃の村上氏の同族である。1555年、厳島の合戦では陶晴賢の軍を毛利氏とともに破り、その勇猛さを轟かせた。子孫は江戸時代には海運業を営み、ついには豪商としてその名が知れ渡るようになった。現在も、瀬戸内海沿岸で村上一族が多い。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②熊本県、③広島県、④岩手県、⑤宮城県順。
西日本、特に四股億地方に多い。瀬戸内海沿岸、なかでも愛媛県・広島県の一部では最多姓となっている。
36位「近藤」
- 藤原秀郷の子孫で近江に移り住んだ脩行が「近江の藤原氏」として近藤を称したのが、始まりである。
- 鎌倉時代には幕府の御家人としてこの氏族は大いに繁栄し、嫡流である三河国(愛知県新城市)の近藤満用は「近藤氏中興の祖」といわれている。孫の康用のときに遠江伊谷(静岡県引佐町)に移り、その地の領主井伊氏に従った。やがて徳川幕府の重臣となった井伊氏に続いて近藤氏も旗本に出世し、一族は5家に分かれて栄えた。
- 近藤勇は、天然理心流の師範である近藤周斎に剣術の腕を見込まれ養子に入り、武士の身分を得た。
- 全国密度ランキング、①徳島県、②愛知県、③愛媛県、④新潟県、⑤岡山県順。
東海、四国で案キング入り。愛知県、徳島県でベスト10入り。
37位「石井」
- 古来の水汲み場を表わす「井」の字から生まれた姓。「石の多い水汲み場」という地名が全国津々浦々で生まれた。一族の祖としては、安芸国安南郡中村石井(広島県安芸郡府中町石井)発祥の小大名・石井氏が有名で、南北時代から代々石井城に居城していた。
- このほかにも下総国石井(茨城県)、相模国石井(神奈川県)などで石井姓が生まれている。公家にも石井家があるが、読みは「いわい」となる。
- 全国密度ランキング、①千葉県、②岡山県、③神奈川県、④秋田県、⑤福島県順。
東日本に多い名字だが、特に南関東に集中している。
38位「坂本」
- 「坂の麓」を表わす地形姓で、全国各地で見られる。宮崎県から鹿児島県にかけては「坂元」のほうが多いが、「阪本」「阪元」もルーツは同心。
- 和泉国和泉郡坂本(大阪府和泉市)発祥の坂本氏は、3代の天皇に仕えて3世紀以上生きたという伝説的人物・武内宿祢の後裔といわれ、代々坂本城に拠っていた。
- 出羽国(山形県)で源氏一族・天童市の庶流だった坂本氏も挙げられる。
- 坂本龍馬の出た坂本家は、もとは才谷屋と号する土佐藩の商家。
- 全国密度ランキング、①高知県、②熊本県、③青森県、④山梨県、⑤和歌山県順。
東海地方を除いて分布。和歌山、熊本で上位に。
39位「遠藤」
- 藤原氏の末裔が遠江国(静岡県)に移り住み「遠江の藤原」から生まれた姓。平安末期に、同族の遠藤遠光が遠江から摂津国西成郡(大阪市)に移しすんでから、遠藤姓は摂津国にも広がっていく。
- 「平家物語」では、藤原南家の末裔でありながら、平将門追悼に加わった藤原忠文の孫・遠藤六郎が摂津国渡辺に移り、渡辺遠藤を名乗ったという記述がある。彼の子孫は平家全盛時には栄えたが、鎌倉時代には渡辺党出自の遠藤盛遠の弟・為家の後裔が主流となった。
- 仙台・伊達家を支えた家臣団として知られる遠藤家。遠藤基信が伊達輝宗に認められ、その子・宗信も伊達政宗の信頼厚く宿老として伊達家に仕えた。
- 全国密度ランキング、①福島県、②山形県、③宮城県、④鳥取県、⑤山梨県順。
西日本では鳥取県以外はかなり少ない。北関東から東北が中心。
40位「青木」
- 「青木」という地名に由来する地名姓で、全国各地の青木地名から生まれた。武蔵国入間郡青木村(埼玉県飯能市青木)や、近江国甲賀郡青木(滋賀県湖南市)などが発祥の地として知られている。
- 甲斐青木一族の青木和泉守は、戦国時時代に長州に移って毛利元就に仕え、江戸時代は山口県で医者になった。子孫の青木周弼は長州藩の藩医に抜擢され、天然痘を予防する種痘を実施。その甥の周蔵は明治政府の外交官として不平等条約の撤廃に尽力した。
- 戦国時代の武将、青木重直は、主君を転々と変え最終的には家康から1万石の摂津麻田藩の初代藩主になっている。
- 全国密度ランキング、①群馬県、②長野県、③栃木県、④島根県、⑤茨城県順。
関東地方から中国地方にかけて広く分布しているが、特に北関東に多い。
41位「藤井」
- 「藤井」という地名をルーツに持つ地名姓で全国各地にみられるが、中でも山陽地方に多く、岡山県西部から広島県東部に集中している。
- 江戸時代の公家の藤井氏。神道の一族として有名な卜部氏の支流で、卜部兼忠の子・兼国が藤井氏を称したのがルーツ。吉田兼好を輩出した吉田家とは同族。この一族は明治時代に子爵になっている。
- 常陸国那珂郡藤井が発祥で清和源氏の支流の藤井氏や、藤井城を築城した下野国都賀郡藤井発祥の藤井氏も有名。
- 不二家の創業者は、藤井林右衛門。
- 全国密度ランキング、①山口県、②広島県、③岡山県、④富山県、⑤島根県順。
山陽地方から関西地方、富山県にかけて多い名字。
42位「西村」
- 大きな集落の「西方の村」を意味する地形から生まれた姓。「東西南北」に「村」をつけた姓の中では圧倒的に西村が多い。
- 周防国玖珂郡西村(山口県玖珂郡錦町)発祥で府谷八幡宮の神官となった源氏の流れを汲む西村氏や、天正年間に種子島の島主・種子島氏の家老として仕えた西村時玄が有名。
- 安土桃山時代に「天下一」の称号を与えられた西村道仁は織田信長の釜師となり、以後代々千家に出入りして名釜師としての地位を築いた。のちに子孫は永楽焼の祖となる。
- 上杉家のもとで上方物資を調達してきた御用商人の西村家、西村久左衛門は江戸時代になってからの当主。米沢藩の京都御用商人として、米などの領内物資を最上川を利用しての輸送を進言、独力で河川整備。これにより米沢藩の経済が大きく発展した。
- 全国密度ランキング、①高知県、②滋賀県、③山口県、④鳥取県、⑤京都府順。
西日本、特に関西を中心に多い名字。
43位「福田」
- 「福田」という地名をルーツに持つ地名姓。「湿地」を意味する「ふけた」という地形から派生した地形姓としての由来もある福田姓。
- 肥前国彼杵郡福田(長崎市)発祥の福田氏、桓武平氏の末裔である平兼定が1186年に彼杵荘の地頭となり、その弟・包信が福田氏を称したのがルーツ。のちに大村氏に従い、大村藩家老となった。
- 鎌倉時代に湊川の合戦で活躍した備後国福田(広島県福山市)発祥の福田氏や、陸奥国名取郡高舘城主の福田氏も有名。
- 全国密度ランキング、①栃木県、②鳥取県、③長崎県、④山口県、⑤島根県順。
栃木県で集中的に多く、山陰・九州北部でも多く見られる。
44位「太田」
- 全国に発祥の地がある。太田道灌を輩出した太田氏は丹羽国桑田郡大田郷(京都府亀山市)発祥。清和源氏で源頼政の子・広綱を祖とし、その子孫が太田郷に住んで太田氏を称したのがルーツ。
- 越中国太田保(富山県)発祥で「吾妻鏡」に登場する大田氏や、美濃国(岐阜県)発祥でのちに旗本となった太田氏、承久の乱の後に但馬守護を務めた但馬国出石郡太田荘(兵庫県出石郡但東町)発祥の太田氏もいる。
- 全国密度ランキング、①青森県、②山形県、③静岡県、④長野県、⑤三重県順。
全国に幅広く分布。比較的東海地方に多い。
45位「三浦」
- 相模国三浦(神奈川県三浦市)を発祥とする地名姓。中流貴族の源義明の子・義澄が鎌倉幕府の御家人となり、相模国守護を世襲して三浦氏を名乗るようになった。室町時代には永享の乱で足利持氏を自害に追い込んで勢力を得ている。戦国時代末期に一介の浪人から武将に成り上がった北条早雲に敗れて一族は没落した。
- 美作国(岡山県)の三浦貞宗が勝山城を築城し、同地を平定。
- 1600年、豊後国臼杵の浜にオランダ船リーフデ号が漂着。ウィリアム・アダムスを家康は江戸日本橋に住まわせ、幕府の外交顧問として厚遇。帆船建造に成功したアダムスに三浦半島の領地とともに、「三浦按針」の名を与えた。日本人女性と結婚し二人の子供をもうけた。備前国平戸で57歳の生涯を閉じる。
- 全国密度ランキング、①秋田県、②青森県、③宮城県、④岩手県、⑤大分県順。
東北地方、特に秋田県に多い。
46位「藤原」
- 大化の改新を起こした中臣鎌足が天智天皇から「藤原」姓を賜ったのが始まり。文武天皇の時代になると鎌足の次男・不比等の子孫のみが藤原氏を名乗ることを許され、藤原氏は、太政官の官職を独占するようになる。他の中臣氏は祭祀を担当する神祀官として明確に分けられたため、藤原不比等が実質的な藤原氏の祖とされる。不比等の息子、武智麻呂、房前、宇合、麻呂はそれぞれ南家、北家、式家、京家を興し。藤原四家を築いた。
- 中尊寺金色堂で知られる奥州・藤原氏。初代・清衡は後三年の役で源義家に味方し、東北一円の支配権を握った。
- 全国密度ランキング、①岡山県、②島根県、③秋田県、④岩手県、⑤兵庫県順。
全国に万遍なく分布しているが、特に東北地方、中国地方に多い。島根県の出雲地方には突出している名字。
47位「岡本」
- 高台や丘のたもとで居住地に適した場所を表わす地名として全国に存在する。岡部も岡辺も「丘の地画」という意味で同様。河内国交野郡岡本郷(大阪府交野市)から生まれた渡来系氏族の岡本忌寸がいる。大和郡岡本(奈良県小山村)の岡本氏は、奈良時代後期の皇族・秋篠王らがこの地で岡本姓を賜ったことが始まり。源氏の末裔で江戸時代には回船業に従事した伊豆の岡本氏などがいる。
- 全国密度ランキング、①高知県、②和歌山県、③岡山県、④奈良県、⑤山口県の順。 西日本に多い名字。
48位「松田」
- 「田の神を待つ(=松)の意を込めて水田の近くに松を植える習わしがあった。「地画に松がある田」が転じて松田という地名が生まれ、それにちなんで松田姓を名乗る一族が全国に登場した。相模国松田(神奈川県松田町)で生まれた松田氏、藤原秀郷の末裔だった波多野義通が松田姓を称したのが始まりとされる。源平合戦では平氏方に与したため領地を没収されるが、のちに回復し、以後室町時代まで同地を中心に足柄地域に勢力を持つこととなる。 ・全国密度ランキング、①山形県、②宮崎県、③福井県、④奈良県、⑤鳥取県の順。
49位「中川」
- 「真ん中の川」という地形から生まれた中川姓。摂津国(大阪府)の藩主だった中川清秀は織田信長に、その子秀正は秀吉に仕えて三木城(兵庫県三木市)に移り住んだ。若狭国小浜藩(福井県)の藩医・中川淳庵は、杉田玄白らと「解体新書」を刊行した。明治時代には公家の甘露寺氏の分家が中川姓を称したのち男爵となった。
- 全国密度ランキング、①滋賀県、②石川県、③徳島県、④富山県、⑤三重県順。
北陸地方と関西地方に多い名字。
50位「中野」
- 「野の中央部」または「山の間の野」という意味から全国各地で生まれた。「中ノ庄」「中の郷」など省略されて「中野」になったというルーツもある。出羽の国最上郡(山形県中野)の中野氏は源氏の末裔だが、長門国(山口県)の中野氏は桓武平氏の子孫といわれている。
- 全国密度ランキング、①山口県、②徳島県、③大分県、④鹿児島県、⑤和歌山県順。
九州地方、山口県、北海道に多い名字。
51位「原田」
- 地名姓で、山陽地方から九州北部に多い。筑前国原田郷(福岡県筑紫野市原田)発祥の原田氏、藤原純友の追補使だった大蔵氏の子孫といわれ、戦国時代には北九州を統治する大名になった。日向国諸県郡原田郷(宮崎県)発祥で清和源氏の支流の原田氏、摂津国豊島郡原田荘(大阪府)の原田氏などがいる。
- 全国密度ランキング、①山口県、②岡山県、③徳島県、④島根県、⑤宮崎県順。
山陽地方から北九州にかけて分布している。
52位「小野」
- 地名姓で各地にあるが、近江国滋賀郡小野村(滋賀県滋賀郡志賀町小野)発祥で、古代豪族の小野氏が有名。孝昭天皇の子孫という春日氏の一族で、遣唐使の小野妹子など多くの外交官を輩出した。小野小町や小野道風もこの一族。
- 全国密度ランキング、①大分県、②岡山県、③秋田県、④青森県、⑤宮城県順。
東北地方と瀬戸内海沿岸に多い名字。大分県ではベスト10。
53位「田村」
- 全国の地名から発祥した。陸奥国田村郡(福島県)発祥地の田村氏が有名。奈良示談に征夷大将軍として東北地方に赴いた坂上田村麻呂の子孫という説がある。中世に入ると陸奥国の有力大名になるが、秀吉によって所領を没収されている。武蔵国田村(東京都日野市)、淡路国(兵庫県津名郡)などの田村氏がいる。
- 全国密度ランキング、①高知県、②群馬県、③山口県、④秋田県、⑤新潟県順。
東北、関東、四国に多い。
54位「竹内」
- 地名姓。「たけうち」の読み方が圧倒的に多いが、「たけのうち」と読む竹内氏は源氏の末流で公家の流れと考えられる。武内氏は3代の天皇に仕えて300年生きたといわれる伝説的人物・武内宿祢の後裔を称する系統が多い。山城国久我荘(京都市)、越中国、入善宿(富山県入善町)の竹内氏がいる。
- 全国密度ランキング、①福井県、②長野県、③愛知県、④高知県、⑤鳥取県順。
北陸地方から山陰地方。愛知県、四国地方に多い。
55位「金子」
- 川の上流で砂金や砂鉄の採れた土地や、鍛冶師の祭神「金屋子神」に縁のある地名が語源となった地名姓。新居郡金子(愛媛県新居浜市)発祥の豪族は、金子城に拠っていいた一族。江戸時代に土佐藩士となった同族の子孫・金子直吉は昭和初期に台湾との貿易を軸に発展した商社・鈴木商店の番頭となる。
- 全国密度ランキング、①新潟県、②群馬県、③埼玉県、④栃木県、⑤山口県順。
関東地方から新潟県、山形県にかけて分布。
56位「和田」
- 各地にみられる地名姓。相模国和田(神奈川県三浦市)の和田氏から派生した一族が多い。鎌倉時代から御家人であった同族の祖・和田義盛は、由比ヶ浜の合戦で戦死している。現在、由比ヶ浜通りには和田一族戦没地の碑として江ノ電和田塚駅から徒歩1分の場所に「和田塚」が建てられている。 滋賀県甲賀郡には、和田城の遺構がある。戦国時代に和田惟政が築いたこの城は、興福寺を逃れたのちの将軍・足利義昭を匿ったことで知られている。
- 全国密度ランキング、①高知県、②島根県、③和歌山県、④愛媛県、⑤長野県順。
関西に多い名字。
57位「中山」
- 「連なる山脈の中心に位置する山」、または「山の中」という地名から生まれた中山姓。公家の流れを汲む一族も多く、藤原北家花山流中山氏が主流である。花山院は藤原道長の子孫にあたる京極諸実が京都の中山に住んで祖となった。武蔵国入間郡中山(埼玉県飯能市中山)の加治氏が中山姓を名乗ったことから始まっている。
- 全国密度ランキング、①高知県、②佐賀県、③茨城県、④長野県、⑤富山県順。
全国に広く分布。北関東、北陸、北九州に多い。
58位「石田」
- 「石のように固い田」から生まれた地形姓。全国で生まれた。「日本書記」「古事記」にも登場し、伊勢神宮を創設した垂仁天皇の後裔が、山城国久世郡石田庄(京都府南部)に住んで石田氏を称したのが始まりとされる。中世には関東一円を中心に武家の石田氏が興った。
- 全国密度ランキング、①島根県、②山口県、③鳥取県、④新潟県、⑤京都府順。
京都府から中国地方にかけて分布している。
59位「上田」
- 「上方、川上の田」という高い位置にある水田から「上田」の地名が生まれ、それにちなんで姓が発生した。信濃国上田(長野県上田市)にて、源氏の末流にあたる小笠原氏の一族が上田姓を名乗るようになった。基礎地方にも上田地名があり、戦国時代に木曽首領の家臣だった上田氏もいる。愛知県などでも地名由来の上田氏が生まれた。
- 全国密度ランキング、①奈良県、②熊本県、③山口県、④和歌山県、⑤京都府順。
西日本に多く、近畿地方ではすべての県でベスト30。
60位「森田」
- 地形姓であり、地名姓でもある森田。下野国森田(栃木県南那須町)発祥の森田氏は、源義経に仕えた弓の名手・那須与一の父・資隆が下野森田の祖である。伊賀国猪田郷(三重県北西部)には藤原業平の後裔を称する森田氏があるが、伊賀の乱で途絶えている。
- 全国密度ランキング、①高知県、②鳥取県、③奈良県、④富山県、⑤三重県順。
関東地方・関西地方に多い名字。
61位「原」
- 平野を表わす「原」から地名が生まれ、全国各地に原姓として広がっていった。古代の出雲神話の神々を信仰する出雲族の中には、「腹」氏もあり、ここから転じて「原」の字があてられたという説もある。美濃国原(岐阜県山岡町)発祥の原氏は源氏の末流で、蜂屋定親の子師親が祖である。南北朝時代に同国の守護代として活躍した。
- 原家の家紋は、三連銭や組み合い菱などがある。
- 全国密度ランキング、①島根県、②長野県、③佐賀県、④岐阜県、⑤徳島県順。
全国に広く分布。島根県で圧倒的多さ。
62位「柴田」
- 地名姓。仙台藩重臣の柴田氏は、陸奥国柴田郡柴田(宮城県柴田郡柴田町)にて結城氏が改姓した一族。江戸時代には仙台藩の重臣となって船岡(柴田町船岡)で5千石を領した。一族に浄瑠璃・歌舞伎の題材にもなっている仙台藩のお家騒動「伊達騒動」に登場する柴田外記がいる。明治維新が、子孫は北海道への移住を試みている。 柴田勝家・織田家の筆頭家老として越前49万石を排したが、羽柴秀吉と戦い自刃。
- 柴田家の家紋は雁金が有名。
- 新発田、柴多など同音の名字が多いのが特徴。
- 全国密度ランキング、①秋田県、②愛知県、③山形県、④福岡県、⑤岐阜県順。
秋田県、愛知県、福岡県に多くベスト30に。
63位「酒井」
- 地名姓。「坂井」「境」「阪井」など多数みられるが、その中で最多が「酒井」。古代豪族の宇佐郡酒井郷(大分県宇佐市)の勝氏が地名にちなんで酒井姓を称している。江戸時代に三河国酒井(愛知県)で生まれた酒井氏は譜代大名として幕末まで徳川家に仕えた。 三河武士・酒井忠次。家康が今川家の人質になったころから仕えた彼は、数々の戦で武勲を挙げている。家康の天下を見ることなく1596年に70歳でこの世を去った。
- 全国密度ランキング、①福井県、②富山県、③長野県、④福島県、⑤長崎県順。
富山県でベスト10.東海地方から北陸地方にかけて多い。
64位「工藤」
- 工藤氏は9世紀に藤原南家武智智麿の後裔を名乗る藤原為憲を祖としている。為憲が「木工助」という家屋や器物などを作る、今でいえば建設省の次官の地位についていたこと~、「工」と藤原の字をあわせて工藤と称した。平安後期には子孫の維職がいず国狩野に住んで狩野氏の祖となるが、曾孫の祐経の時に再び工藤姓に戻している。
- 全国密度ランキング、①青森県、②秋田県、③大分県、④岩手県、⑤山形県順。
東北、九州東部に多い。青森県では突出していて最多姓となっている。
65位「横山」
- 「横に山」がある山際の村落を表わす地名として使われそこから横山姓を名乗る家が現われた。平安から室町にかけて、関東中心に勢力を誇った同族武士集団「武蔵七党」の一派に横山党がある。小野氏の出で武蔵国多摩郡横山荘(東京都八王子市元横山町)を本拠地として広く分布し、のちに横山姓を称した。
- 横山家の主な家紋は、丸に卍、隅立て五つ割り卍など。
- 全国密度ランキング、①高知県、②宮崎県、③山形県、④新潟県、⑤岐阜県順。
全国に分布。高知県、宮崎県でランキング入り。
66位「宮崎」
- 神社社領の近くで(=宮)、かつ山や丘が突き出た場所(=崎)という地名。ルーツが全国各地にある。紀伊國有田郡宮崎(和歌山県有田市)や信濃国(長野県)の宮崎氏が有名。木曽義仲の子孫を名乗る一族は陸奥国加美郡宮崎(宮崎県小野田町)に移り住み、陸奥の宮崎氏となった。
- 宮崎家の家紋は、神に関係のある巴や鳥居、鳩など用いたものが多い。 「神社のあるところに宮崎あり」といわれている。
- 全国密度ランキング、①長崎県、②佐賀県、③熊本県、④高知県、⑤愛媛県順。
西九州地方に多いが、東北地方以外で広く分布している。
67位「宮本」
- 「宮のたもと」、つまり神社の傍という意味から生まれた地名姓。宮本姓発祥の地は多く、西日本中心に長野県、岡山県、福岡県な度全国に約15の地域が数えられている。江戸時代に小倉藩(福岡県北九州市)で家老を務めた宮本氏は、剣豪・宮本武蔵の一族でもある。
- 宮本家の主な家紋は、丸に三つ柏。
- 全国密度ランキング、①和歌山県、②熊本県、③徳島県、④石川県、⑤茨城県順。
西日本全域で広く分布している。
68位「内田」
- 山間の中の田、または自分や身内が所有する田を表わす地名に由来。古代豪族・物部氏の末裔が内田姓を名乗ったのが始まりという説がある。中世に活躍した内田氏の主流は、遠江国内田郷(静岡県小笠郡)を発祥とする藤原南家の末流。南北朝時代に石見国(島根県益田市)豊田城で活躍した内田氏も同族である。
- 内田家の主な家紋は、内田菱、花久留子、三つ銀杏、内田木瓜、内田久留子。
- 全国密度ランキング、①島根県、②山梨県、③佐賀県、④岡山県、⑤埼玉県順。
埼玉県でベスト30.関東地方、九州中部、四国地方に多い。
69位「高木」
- 「神が降臨する神木」という意味と、高知に建てられた古代の城塞(=高城)という全国各地の地名にちなんだ姓。南北朝時代に丹比郡高木郷(大阪府)で生まれ、南朝に属した高木遠盛が有名。江戸時代には美濃国(岐阜県南部)の旗本・高木氏がある。関ヶ原の戦いで功を挙げ、同家は西高木・東高木に分かれて幕末まで続いた。
- 全国密度ランキング、①岐阜県、②香川県、③富山県、④熊本県、⑤愛知県順。
東北以外に幅広く分布、岐阜県でベスト30に入るなど、東海地方から北陸地方で多い。
70位「安藤」
- 藤原氏の一族で安芸国(広島県西部)に移り住んだ一族が安藤氏を称したという説と、安倍氏の一族が藤原姓を賜り安藤姓を名乗ったという説がある。三河国(愛知県東部)で生まれた安藤氏は代々徳川家に仕え、直径は紀伊藩(和歌山県)の付家老となった。 歌川広重の本名は、安藤重右衛門という。
- 安藤家の主な家紋は、上がり藤、下り藤などの藤系統。
- 全国密度ランキング、①岐阜県、②香川県、③大分県、④愛知県、⑤宮崎県順。
九州北部と、東海地方に多い名字。
71位「谷口」
- 「谷」から始まる地形姓は多いが、その中でも「谷口」がトップ。谷の入り口にあたる集落(谷口集落)から発生した地形姓で、全国に広く分布する。300年以上の歴史を誇り、佐賀県の重要無形文化財に指定の「名尾和紙」は、谷口家の手によって「谷口手漉き工房」で代々受け継がれている。広島市には「渓口」と書いて「たにぐち」と読む姓もある。
- 西日本では「タニグチ」が普通だが、東日本では「ヤグチ」と読むことも多い。
- 全国密度ランキング、①鳥取県、②和歌山県、③宮崎県、④福井県、⑤京都府順。
北陸地方や関西地方に多い。南九州にも多い名字。
72位「大野」
- 緩やかに広がった野原を意味する「大野」は、広く分布する地名である。全国各地で大野姓を名乗る一族がある。古代豪族では山城国大野郷(京都市北区)が発祥の大野氏が有名。天智天皇の崩御後、大海皇子と朝廷が争った「壬申の乱」では、山城国の大野果安が功を挙げ、その子東人は天皇の側近の地位を得た。
- 大野家の主な家紋は、花杏葉、杏葉、抱き花杏葉など。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②岐阜県、③高知県、④島根県、⑤埼玉県順。
全国各地に分布しているが、千葉県、岐阜県、愛媛県、鹿児島県で多い。
73位「丸山」
- 「丸く盛り上がった円形の低い山」という地形から生まれた。人工の円墳や塚なども含まれる。信濃国(長野県)で生まれ、詩なのを中心に広がった珍しい地形姓である。幕末の長野県生坂村には、室町時代から続く丸山氏がおり、子孫には政治学者の丸山真男、評論家の丸山邦夫などを輩出している。新潟県では「円山」と書く場合も多い。
・全国密度ランキング、①長野県、②新潟県、③山形県、④群馬県、⑤和歌山県順。
長野県2位、新潟県14位。
74位「今井」
- 「井」は水をくむ場所=人々が集まる集落を表わす。それに「新しく開発された」という意の「今」を融合させて今井姓が生まれた。「新井」「新居」「荒井」ともにルーツは同じ。甲斐国山梨郷今井(山梨県甲府市)の発祥で、武田信光から今井姓を称した。織田信長に仕えた茶人の今井宗久は源氏の末流。千利休・津田宗及と三大宗匠と呼ばれた。
- 全国密度ランキング、①岐阜県、②新潟県、③群馬県、④長野県、⑤滋賀県順。
岐阜県、新潟県でベスト30に入る。
75位「高田」
- 「高いところにある田」という全国にある地名にちなんで生まれた高田姓。聖徳太子の父である用明天皇の子孫といわれている高田氏が大和国(奈良県)にいた。同家は高田城に移り住み、室町時代には当麻高田氏と布施高田氏に分裂している。源氏の流れを汲む高田氏も各地に分布している。
- 「高田装束」は数百年続けられている宮中内蔵寮御用装束調達方高田家の家業を受け継ぎ、宮中御装束の製作に携わっている。
- 全国密度ランキング、①富山県、②石川県、③北海道、④岡山県、⑤鳥取県/徳島県順。
富山県、石川県、岡山県に集中。
76位「河野」
- 「河(川)と原野の近く」を意味する地名から生まれた姓。文武天皇の時代に越智玉輿が伊予大領となり、その弟玉澄が伊与国河野(愛媛県松山市)に移り住んで河野氏の祖となったという説がある。平安末期には平氏討伐に立ち上がった源頼朝の挙兵に河野通清。通信親子が呼応。各地で専攻を挙げ、その恩賞として所領を与えられている。
- 愛媛県と広島県では「こうの」、徳島県と宮崎県、大分県で「かわの」と読む。
- 全国密度ランキング、①大分県、②宮崎県、③愛媛県、④徳島県、⑤山口県順。
大分県、宮崎県でベスト10に入っているように、西日本に多く見られる名字。
77位「藤本」
- 発祥のいわれは定かではないが、平安時代に栄華を極めた藤原氏にあやかって、藤井、藤田、藤沢など、頭に「藤」を冠した名字が続出した中のひとつだと考えられている。「藤」を富士、不二と書き換えた姓も多い。また、日本一長い名前として「藤本太郎喜左衛門将時能」という人が実存した。
- 全国密度ランキング、①山口県、②徳島県、③熊本県、④兵庫県、⑤香川県順。
西日本の広く分布している。
78位「小島」
- 小さい島:地形姓。東海地方では、源氏の末裔だった浦野重遠の孫・重平が尾張小島郷(愛知県)に住んで小島を称したことが知られている。足利幕府の要職に就き、のちに織田信長、徳川家康に仕えた一族が多い。同じ読みの「児島」は神話に登場する太陽の化身・天日槍命の子孫といわれている。
- 児島家の主な家紋は、対い鳩、七つ割り四つなど。
- 全国密度ランキング、①愛知県、②岐阜県、③群馬県、④新潟県、⑤茨城県順。
密度、件数ともに愛知県がトップで32位。
79位「武田」
- 武田家のルーツは諸説あるが、地名にちなんだ姓であると考えられている。甲斐国(山梨県)の武将・武田信玄が有名で、各地の武田氏もこの一族にあやかるものが多い。福井県、広島県、千葉県、鳥取県に散らばった武田氏はすべて同族である。江戸時代には、津軽の豪商・金木屋が武田氏を称しし、以後明治にかけて繁栄している。
- 全国密度ランキング、①山形県、②秋田県、③愛媛県、④徳島県、⑤北海道順。
埼玉県より北に多いが、特に山形県に集中している。
80位「村田」
- 現在でも多く残っている全国各地の「村田」の地名から生まれた姓。下総国香取郡村田(千葉県香取郡大栄町村田)発祥の村田氏は、平氏の末裔だった国分有通が村田氏を称して祖となった。陸奥国柴田郡村田宮城県柴田郡村田町)の村田氏は藤原北家の末流であり、当初は小山姓を称していたが、室町時代に村田に改姓している。
- 全国密度ランキング、①山口県、②三重県、③滋賀県、④石川県、⑤京都府順。
全国に広く分布しているが、山口県、三重県、滋賀県に集中。山口県ではベスト20。
81位「上野」
- 「上野」という地名にルーツを持ち、全国に分布する。愛知県発祥の上野氏は室町時代には政権の中枢を担う奉公衆に任命されている。他に長野県、富山県から興った上の一族がある。中犬八公の飼い主も上野さん。
- 全国密度ランキング、①鹿児島県、②栃木県、③和歌山県、④熊本県、⑤富山県順。
関東から、北陸、西日本のかけて多い。
82位「杉山」
- 「杉本」「杉浦」など、杉のつく名字の中でトップ。伊豆国杉山(静岡県土肥町)発祥で藤原氏の子孫だった杉山氏、石田三成の孫が青森県に移り住んで名乗った杉山氏などいる。
- 全国密度ランキング、①静岡県、②岐阜県、③山口県、④茨城県、⑤神奈川県順。
静岡県に集中、密度・件数ともナンバーワン。静岡県で第4位。
83位「増田」
- 「升」のような四角い田を表わす地名にちなんで生まれた姓。「増田」「益田」という名字に転じた。藤原家後裔で石見郡益田村(島根県西部)発祥の増田氏がいる。
- 全国密度ランキング、①静岡県、②香川県、③奈良県、④福井県、⑤埼玉県順。
静岡県で、件数・密度とも最多。静岡県で14位の名字。
84位「菅原」
- 古代豪族の土師古人が、大和国菅原(奈良市菅原町)にて奈良時代に菅原氏を称した。9世紀には菅原清公が博士となり、以後代々学者を輩出している。菅原道真も同族。
- 全国密度ランキング、①岩手県、②宮城県、③秋田県、④山形県、⑤北海道順。
東北より北に多く、岩手県、宮城県、秋田県ではベスト10に入っている。
85位「平野」
- 「平らな野原」を表わし、全国に見られる地形姓。奴野城(愛知県津島市)にて豊臣秀吉に仕えた尾張国の平野氏は、江戸時代は旗本に、明治時代は男爵に。
- 全国密度ランキング、①長崎県、②千葉県、③静岡県、④岩手県、⑤愛知県順。
全国に分布しているが、南関東方東海地方に多く、特に千葉県に集中。
86位「小山」
- 富士宮以北は、「おやま」西は「こやま」と読むことが知られている。ルーツも「小さい山」の意と「御山」という信仰的な意味合いの2種類がある。藤原秀郷の末裔で鎌倉時代の有力守護だった小山氏がいる。
- 全国密度ランキング、①長野県、②宮城県、③岩手県、④新潟県、⑤和歌山県順。
関東地方から長野県にわたって多く分布。
87位「大塚」
- 「塚」は土を盛り上げた小高い丘という意で、そこから古墳や一般の墓を意味するようになった。こうして「大塚」の地名や姓が生まれていった。常陸国(茨城県)発祥で藤原氏の流れを汲む大塚氏がいる。
- 全国密度ランキング、①栃木県、②群馬県、③大分県、④茨城県、⑤熊本県順。
関東地方に多く、特に栃木県に集中している。
88位「千葉」
- 桓武天皇の血を引く桓武平氏の末裔で、平安末期に房総半島を中心に栄えた大豪族が千葉氏である。源平合戦では源頼朝に協力したことで、東北から鹿児島まで広く領地を与えられ、全国に一族が拡がるようになった。
- 全国密度ランキング、①岩手県、②宮城県、③秋田県、④青森県、⑤北海道順。
岩手県と宮城県でベスト10に入っているなど、東北地方に多い。
89位「久保」
- 「窪地」の地形にちなんだ地名を「久保」の字をあてた姓。平氏の末裔で土佐国久保(高知県物部村)発祥の一族が有名。窪氏は渡来人の子孫であり、宮中で雅楽を担当する楽家に窪家がある。
- 全国密度ランキング、①香川県、②和歌山県、③鹿児島県、④高知県、⑤愛媛県順。
西日本太平洋沿岸に多い。
90位「松井」
- 各地にある「松井」地名ゆかりの姓。源氏の末裔が上野国松井田(群馬県)に移り住み、「松井冠者」と称したことから始まったとされる。百済から渡来した古代豪族の松井氏もいる。
- 全国密度ランキング、①富山県、②滋賀県、③群馬県、④奈良県、⑤岐阜県の順。
91位「岩崎」
- 源氏の末裔である武田信隆が、甲斐国(山梨県勝沼町)で岩崎氏を称したのが始まりとされる。子孫に、地下浪人から立身して三菱商会の創業者になった岩崎弥太郎がいる。
- 全国密度ランキング、①熊本県、②群馬県、③静岡県、④鳥取県、⑤高知県順。
東海地方から関東南部にかけて多い名字だが、特に静岡県に集中。
92位「木下」
- 秀吉の妻、“ねね”の実家は、杉原を名乗っていたが、元は平氏の流れを汲む木下姓であった。“ねね”の兄・家定が、秀吉に仕えて木下と改姓。秀吉も幼名として木下藤吉郎と称していた。
- 全国密度ランキング、①和歌山県、②福井県、③長野県、④鳥取県、⑤長崎県順。
東北以外に分布。福井県と和歌山県でベスト30に。
93位「野口」
- かつては野の入り口、または山から平地に出るところを「野口」と呼んだ。そこから生まれた地名由来の姓。茨城県御前山村には源氏、栃木県日光市には藤原氏の流れを汲んだそれぞれの野口氏が有名。
- 全国密度ランキング、①佐賀県、②茨城県、③長崎県、④鳥取県、⑤埼玉県順。
北関東地方、九州南部に多い姓。
94位「松尾」
- 源氏の末裔を名乗る武田信賢が甲斐国松尾(山梨県中敷島町・塩山市)で松尾氏を称したのが祖。俳人の松尾芭蕉は伊賀国柘植(三重県)の出身で、もとは伊賀上野藤堂家に仕える料理人であった。
- 全国密度ランキング、①長崎県、②佐賀県、③福岡県、④大分県、⑤熊本県順。
佐賀県、長崎県、福岡県でベスト10に入るなど北九州に多い名字。
95位「野村」
- 全国各地にある地名姓。佐々木盛季が近江国野村(滋賀県草津市)で野村姓を称したのが有名。戦国時代に毛利氏に仕え、のちに長州藩士となった野村氏は明治時代に子爵に。
- 全国密度ランキング、①高知県、②山口県、③岐阜県、④福井県、⑤富山県順。
北陸地方、中国地方、四国地方に多く、山口県ではベスト30に。
96位「菊地」
- 肥後国菊池郡(熊本県)にて藤原北家の末裔が「菊地」を称したのが最初である。室町時代に岩手県に下った菊地氏の支流が「菊地」と改姓し奥州ではこちらが主流となった。
- 全国密度ランキング、①岩手県、②宮城県、③秋田県、④福島県、⑤栃木県順。
東北地方に多くみられる。栃木県ではベスト14。
97位「佐野」
- 藤原秀郷の子孫が下野(栃木県佐野市)に移り住み、佐野を称した一族が有名。佐野城に拠って一帯を支配する名家だったが、江戸時代初期に断絶している。滋賀県、大分県などでも地名姓の佐野氏がいる。
- 全国密度ランキング、①山梨県、②静岡県、③徳島県、④新潟県、⑤三重県順。
山梨県から静岡県にかけて多い。山梨県ではベスト10に入っている。
98位「渡部」
- 「渡辺」より少ないが、東北地方と愛媛県、島根県では「渡部」のほうが多い。特に愛媛県では北条市や温泉郡では最多姓に。新潟県などでは「わたべ」と読むケースも多い。
- 全国密度ランキング、①愛媛県、②福島県、③山形県、④島根県、⑤秋田県順。
東北地方、愛媛県、島根県で多い。愛媛県では5位。島根県では8位。
99位「大西」
- 発祥地が三好郡大西(徳島県池田町)に限定される姓。四国の中心部にあたり、戦国時代に大西頼武が勢力を伸ばしたことで徳島県はもちろん高知県、香川県まで広がった。
- 全国密度ランキング、①香川県、②愛媛県、③徳島県、④奈良県、⑤三重県の順。
100位「杉本」
- 相模国鎌倉郡杉本(神奈川県)の地名にちなんで、平氏方の三浦氏が和田姓を名乗るようになったのが始まりとされる。のちに遠江国(静岡県西部)に移り住んだため、現在でも静岡県で多い姓。
- 全国密度ランキング、①静岡県、②高知県、③奈良県、④福井県、⑤滋賀県の順。
参考資料
- 「名字の新聞」 宝島社 森岡浩 監修
- 「名字の謎」 ちくま文庫 森岡浩 著
- 「名字の秘密」 宝島社 多田茂治/金容権 著
- 「新選:漢和辞典(新版)」 小学館 小林信明 編